FIAT500 旅ChannelFIAT500で鳳来寺道を行く

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 江戸時代、「お陰参り」が一大ブームとなると、江戸から伊勢神宮に向かう道として「東海道」がよく利用されました。当時、移動の自由を制限された女性や身分の低い庶民にも「お陰参り」は例外的に寛容な処置が取られました。またルート選択は比較的自由であったため、せっかくならと帰りに御油宿から北に外れ、「鳳来寺」と「秋葉神社」に参拝し、掛川宿で再び東海道に戻るというルートが好んで利用されました。今回は鳳来寺に向かう「鳳来寺道」を走ります。ゴールは三河大野です。

鮎滝 今回のオープニングは愛知県新城市を流れる豊川にある「鮎滝」です。川幅の細くなった滝をジャンプして遡上しようとする鮎を網でキャッチする、この地独自の伝統漁法が行われる滝です。以前に「ナニコレ珍百景」で紹介されたこともあります。
 まずは車で国道257号を走ります。この道は以前「伊那街道」を走った際にも利用しています。東海道を西からやってきた旅人は御油宿から姫街道(本坂通)に入り、豊川稲荷辺りからはこの伊那街道を利用したものと思われます。伊那街道の横川追分で鳳来寺道は東に分岐します。音為川沿いに坂道を上っていくと門屋田代の集落に出ます。県道398号を少し東に走ると鳳来寺の表参道に出ます。ここからは県道441号となります。
 表参道一ノ門駐車場に車を停めてここからは徒歩となります。実際には石段の手前まで車で行き駐車することができます。しかし今回は鳳来寺本堂からは来た道を引き返さずに大野側に抜けるため車の回収ができません。そこでJR本長篠駅に車を駐車し表参道までは豊鉄バス田口新城線で戻ってきました。帰りは三河大野駅から本長篠駅までJR飯田線で戻ってくるつもりです。

石段 昔の街並みが残る道を鳳来寺に向けて歩きます。200メートルほど歩くと石段が始まります。段数は1,425段あり、本堂までは長い道のりです。鳳来寺の開祖である利修仙人像の前を通り、しばらく石段を上っていくと鳳来寺の山門である仁王門に着きます。ここで全体の2割ほどです。さらに少し進むと日本一高い杉の木と言われる「傘杉」があります。この辺りから石段の傾斜が急になってきます。かつての僧房の後をいくつか通り過ぎると、右手に鳳来寺に現存する二か所の僧房の内の一つである「松高院」に着きます。ここで全体の4割ほどです。さらに進むと今度は左手にもう一つの現存する僧房の「医王院」が見えてきます。かつて平治の乱の際、源頼朝はここに匿われていたと言われています。現在上っている石段も頼朝が寄与したものだと伝えられています。

鳳来寺 さらに石段の傾斜が急になり、息を切らせながら上っていくとやっと赤い鳳来寺の本堂が見えてきます。ここからさらに鳳来寺山山頂を目指すのであれば本堂の左側の階段から登ります。 本編ではカットしましたが登頂を果たしました。
 本堂の右の道を進んでいくと蓬莱山東照宮があります。徳川家康の母である於大の方はここ鳳来寺に祈念し家康を授かったと言われており、その話に感銘を受けた三代将軍家光によって建立されました。

行者越 東照宮の前を通り過ぎ、舗装された道を鳳来寺パークウェイ駐車場方面に歩きます。途中に「東海自然歩道」と書かれた道標があるので、その階段を登っていきます。鳳来寺の東側の鳳来寺道は「行者越」と呼ばれる山道です。かつて修験者が鳳来寺を目指す際によく利用された道であり、その険しさゆえに引き返す修験者もいたため「行者返り」とも呼ばれます。現在の東海自然歩道は安全なルートをとっているため、現実には当時の鳳来寺道とは一致していません。
 道は下りとなり、つづら折りを下っていくと行者越の下に出ます。ぱっと見はただの崖ですが、所々石仏が立っています。当時の人々はこの崖を這うようによじ登っていたと言われています。

ほうらいじ道 道標 鳳来寺パークウェイと県道524号門屋豊岡線を歩道橋で渡りしばらく南下すると湯谷峠に着きます。ここで道は二つに分岐します。左は鳳来寺の裏参道で湯谷温泉方面に続きますが、鳳来寺道に近いのは右の三河大野方面です。足元が悪く転びそうになりながらつづら折りの山道を下っていくとフラットな林道に出ます。ここからは川沿いに進んでいくだけです。途中道の脇には丁石や古い道標が残されています。しばらく平坦な道を進んでいくと東海自然歩道の看板があり引地の集落に出ます。

JR本長篠駅 JR飯田線の線路を渡り、大野の集落に向かいます。しかし宇連川を渡るための吊り橋が補修工事中であったため、橋の手前を今回のゴールとします。JR三河大野駅まで歩き、本長篠駅まで一区間のみJR飯田線に乗ります。本長篠駅に停めた車で帰宅、途中「道の駅もっくる新城」に立ち寄り「鶏とろからあげ」を買って帰りました。

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