手段は独学! 目標(だけ)は一発(ストレート)合格!!
    社会保険労務士 資格試験体験記
社会保険労務士 2年目


1.撤退への迷い


 2011年11月、送られてきた試験結果は当然不合格でした。試験終了後、自己採点をして不合格なのは分かっていました。本来ならば少しでも早く翌年の合格を目指して勉強を始めるべきなのでしょうが、全くその気は起きませんでした。いっそこのまま社労士はあきらめてしまおうかとも思いました。

 しかし、1年間勉強したことが無駄になるという思いと、試験を途中で投げ出した負い目をこの先ずっと感じ続けるのかと思うと、あっさり1年で撤退するのもためらわれます。もともと自分の知識を充実させるために試験に挑戦することにしたので合否にこだわる必要はないのですが、それでもやはり悔しさは残ります。

 とりあえず出した結論としては、もう1年。次に落ちたならばそのときに撤退を考えることにしました。


2.前回の反省

 もう1度受験することを決意しましたが、まずなぜ前回の試験が不合格、しかも惨敗に終わったのかを振り返ってみます。

 まず第1に、「驕り」があったことは否定できません。中小企業診断士の試験にストレートで受かったことで、おそらく社労士もなんとかなるだろうという甘い考えがありました。しかし、そこはあくまでも合格率8%前後の国家試験。ズブのド素人が舐めてかかってすんなり受かるほど簡単ではないということを痛感しました。

 次に勉強方法に問題があったと思います。最初にテキストを読んだ時点で、「これは完全に暗記の試験だ」と思い込み、ひたすら単語の意味を憶えることに時間を費やしていましたが、試験では対応できませんでした。またテキストに載っていないことに関する問題が出たときに全く対応ができないことも敗因だと思います。

 このあたりをいかに克服するか。具体的には、「択一式において全体の点数をボーダーまで伸ばし、選択式において最低ライン(3/5)割れを逃れるためには何が必要か」の策を練る必要がありそうです。


3.2年目の勉強開始


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 年も明けた2012年、社労士の勉強を再開しました。まずは前回の試験の解答を見直し、どこが間違っていたのか、なぜ間違えたのかを確認します。独学である以上誰かが間違えた理由を解説してくれる訳ではないので、H23年度試験の解説が載っている過去問題集を購入しました。

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 択一式に関して、間違えている箇所というのは、五肢から正解候補を2つまで絞りこんで、1/2の選択で間違えている場合が多くありました。五肢択一の問題の場合、だいたいその選択肢の2つか3つは明らかなダミーです。最後に正しい選択肢を解答できるかどうかは、紛らわしく些細な違いを見つけられるほど正確にテキストの(さらに言えば法律の)内容を覚えているかに掛かっていると感じました。

 また選択式については、学習範囲から外れた予想外の問題も出ましたが、一度は目にしたことがありながら流し読みをしていたため記憶に残っていないようなところも多くありました。これらについて何らかの対応が必要でしょう。


 昨年と同じ勉強方法でもう一度受験したところで受かるとは到底思えませんでした。1年間勉強したことで用語の知識はある程度身についているので、勉強方法に更なるステップアップが必要だと感じました。

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 とりあえず新たにもう一冊基本テキストを購入。今度は「2012年版U-CANの社労士速習レッスン」を購入してみました。


(毎年10月ごろ最新版が発売されます)

基本テキストをもう1冊買うという行為に少し戸惑いはありました。どっちみち書いてある内容は同じなのではないか、慣れているテキストを使ったほうがいいのではないかと、最初は感じていました。しかし結果的にもう1冊違う出版社のテキストを読むことは大きな成果がありました。

 まずテキストによって、記載されている内容が結構異なります。「片方のテキストには載っているがもう片方には載っていない」ということがたくさんあります。一冊だけのテキストで試験に出題されることを全てカバーできているわけではないということが分かりました。

 次に、「自分の中では理解できているつもりだったことが実際は理解できていなかった」ということに気付きました。テキストによって解説の表現方法が異なります。どちらかというと「U-CAN」は「うかるぞ」に比べて解りやすく丁寧に解説が載っていて初学者向きのようです。「こんなことも理解できていないまま昨年受験したのか・・・」と反省させられることが多々ありました。


 次に勉強方法ですが、とりあえずテキストに書かれている言葉一つ一つに注目して読むように心がけました。1年目はどちらかというと太字で書かれていることのみに注目し後は流し読みをする感じでした。しかし実際の試験ではテキストに太字で掛かれていないことでも選択式で出題されていることに気付きました。テキストを読む際に「この単語は選択式で出るかもということを常に念頭に置きながらテキストを読みました。

 そして、昨年出題された、テキストに載っていなかった法改正問題への対応ですが、独学でテキストをあてにできない以上、自分で情報収集するしかないと思い、厚生労働省のホームページで法改正の通知を頻繁にチェックするようにしました。また昨年は面倒くさがってやりませんでしたが、法律の原文も同ホームページでなるべく読むようにしました。

 そしてもう一つ、過去問の勉強方法を変えました。昨年は「社労士過去問力の3000題」を中心に勉強しましたが、「一問一答方式」つまり一つずつ○か×かを判断する勉強法では実際の五肢択一試験に対応できないと感じました。五肢択一ではそれぞれの選択肢を一つずつ○か×かを判断するというよりは、5つの選択肢の中でどれが一番正解に近いか(若しくは誤りに近いか)という判断が必要になります。たいてい候補は2つか3つまでに絞れるのですが、そこからが本番です。もちろん完璧に記憶している問題であれば迷うことなどないのですが、そんな問題はあまりありません。一番もっともらしい(若しくはあやしい)ものを選ぶという駆け引きが必要となります。たとえば「見慣れない表現が選択肢に使われている」だとか「『絶対』や『必ず』といった断定的な言葉が選択肢に使われている」といったことに気付く力が必要だと思いました。こういったある種の勘を鍛える必要性を感じました。

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 新たな勉強法で学習をすすめ、7月。「社労士V 7 平成24年度用 第10号 白書対策&法改正 総まとめ」を購入。

(毎年試験年6月ごろ最新版が発売されます)

昨年購入した「うかるぞ社労士SRゼミ(2011年版 改正法・白書講座)」では、H23年度選択式の労災保険で出題された問題(D,E)に対応できませんでしたが、こちらはしっかりと記載されていたようなので購入しました。ちなみにこの本はけっこう売り切れるようなので、購入する方は早めに購入することをお勧めします。


 そして最後に「驕り」を捨てることを忘れませんでした。社会保険労務士試験は毎年8月の第4日曜日に実施されますが、私はその2週間前から1週間夏休みがあります。昨年の夏休みは一切勉強はしませんでした。しかし今年は社労士試験勉強に集中しました。まあこれは天候不順で遊びにいけなかった理由もあるのですが・・・


4.H24、試験本番

 2012年8月26日(日)。撤退をかけた決戦の日(オーバーですが)が来ました。今年も昨年同様、午前中に択一式があり午後から選択式です。

 午前:択一式

 9時10分、試験開始。勉強した成果か比較的順調に進みます。ただ今年から、「正しい組合せはどれか」という問題が出て少し戸惑いました。そして相変わらずの長丁場の試験、11時を過ぎたあたりからやはり集中力が切れてきます・・・

 ここで秘策を打ちます!







  「すみません、トイレ ノシ」



 まあ実際に尿意があったので秘策でもなんでもありませんが、せっかく撤退を掛けた最後かもしれない試験なので記念に行っておこうという気持ちもありました。トイレにいける試験などあまりないので。
 このトイレ休憩を時間のロスと取るか気分転換と取るかは個人の判断でしょうが、少なくとも尿意を我慢しながら試験を受けつづけるよりはいいと思います。

 肝心の試験の方ですが、昨年よりはできたのではないかといった感じ。ただやはり難しい問題も多かったです。


 午後:選択式

 昼食後、選択式試験開始。昨年に比べれば基本的な問題が多いように感じます。一番答えにくかったのは「社会保険に関する一般常識」と「厚生年金」でしょうか。特に「社一」は「社会保険労務士法」という社会保険労務士を目指す者なら知っていて当然ながらなかなか勉強の手が回らないところから出題されました。

 こうして2年目の社会保険労務士試験は終了。あとは各専門学校から出される解答速報を待つのみです。


5.2年目の結果・・・

 試験当日の夜、予定通り各予備校から模範解答が公開され始めました。さっそく自己採点開始。まずは択一式。

択一式:
「1.労働基準法・労働安全衛生法」 8/10
「2.労働者災害補償保険法(徴収法含む)」 9/10
「3.雇用保険法(徴収法含む)」 4/10
「4.労務管理その他労働に関する一般常識
及び社会保険に関する一般常識」
4/10
「5.健康保険法」 8/10
「6.厚生年金保険法」 9/10
「7.国民年金保険法」 8/10
   合計 50/70


・・・結構最低ラインの4/10ギリギリです。正直今回の択一式試験は簡単でもっと点数に余裕があるかと思っていましたが、フタを明けてみれば全然余裕ではありません。ただ前回試験の41/70に比べて合計点数で2割もプラスできたのは、自分の新しい勉強法が間違ってはいなかったということだと思います。

 続いて選択式の自己採点。

選択式:
「1.労働基準法・労働安全衛生法」 5/5
「2.労働者災害補償保険法」 5/5
「3.雇用保険法」 3/5
「4.労務管理その他労働に関する一般常識」 5/5
「5.社会保険に関する一般常識」 4/5
「6.健康保険法」 3/5
「7.厚生年金保険法」 4/5
「8.国民年金保険法」 5/5
   合計 34/40

こちらも「雇用保険」「健康保険」と自信のあった科目が意外に3/5と最低ラインギリギリ・・・。やはりこの試験は油断大敵です。そしてあまり自信のなかった「社一」は4/5とまずまずでした。実は今年難しかった、「社会保険に関する一般常識」「厚生年金」に関しては、「U-CAN 社労士速習レッスン」には赤太字でしっかり載っていましたが、「うかるぞ 社労士」のテキストには載っていない若しくは欄外で書かれていたのみという出題が幾つかありました。(社一のE、厚生のB,C ただしこの比較は「うかるぞ 2011年版」と「U-CAN 2012版」なので厳密には平等な比較ではない) おそらく昨年同様「うかるぞ」のみで勉強をしていたのなら最低ラインを割っていたかもしれません。単純にどちらが優れたテキストだということではなく、複数のテキストで足りない部分を補う方法が功を奏した形となりました。

 自己採点も終わりとりあえずボーダーは越えていそうです。後はマークミスがないことを祈るばかり。

   ・ ・ ・ ・ ・ ・ 

 そして2012年11月9日、合格発表の日となりました。受験票を会社に持っていくのを忘れてしまったため、合格発表の時間になってもホームページで確認することができず、家に帰ってから確認。結果は・・・


   合格していました


まあ自己採点でよほどのことがない限り大丈夫だろうと思っていたのでそれほどの感動はありませんが、昨年のリベンジを果たし少しほっとしました。ちなみにこの年(第44回)の合格基準は択一式が46/70、選択式が26/40(厚生年金は2/5以上の救済)でした。社一で救済がなかったのはちょっと意外でした。

合格証
11月9日合格、同月16日衆議院解散・・・




6.エピローグ

 2012年11月14日、全国社会保険労務士会連合会から社労士の登録申請書類が自宅に届きました。試験に合格し、正式な社会保険労務士となるためには、2年以上の実務経験または労働社会保険諸法令関係事務指定講習を受講する必要があります。実務経験がない私が社会保険労務士になるには事務指定講習を受講するしかないのですが、受講料が70,000円必要となります。そして社労士登録に登録免許税30,000円、登録手数料30,000円も必要なようです。さらに社会保険労務士を名乗るには「社会保険労務士会」に入会する必要があります。その入会金が30,000円年会費が42,000円/年必要です。(勤務等会員の場合、開業会員はもっと高い。また入会金・年会費は支部によって異なる)


 最初の方で少し書きましたが、私は自分の労働保険・社会保険に関する無知を克服するため、いわば自己啓発としてこの資格試験を受けました。実際に労務関係の仕事をしているわけではなく、正式に社会保険労務士となったところでそれを生かせるとは思えません。正直、20万円近い諸費用を捻出するのも苦痛ですし、回収できる見込みもありません。よって今回は社労士として登録はしないことにしました。社労士の場合、試験合格後何年以内に登録しなければならないという縛りはないようなので、気が向いたら(お金に余裕があったら)いつかするかもしれませんが・・・


 ということで、私の社会保険労務士試験挑戦記録はここで終了となります。最後に私が感じたこの試験のコツ試験に合格するまでにいくら使ったかを参考までに記載しておきます。これからこの資格取得を目指すみなさまのご健闘をこころよりお祈りいたします。
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