
(画像はマウスオーバー又はタップで拡大できます)
東海道の吉田宿(現在の愛知県豊橋市)から新城市、東栄町、豊根村を通り信州方面に向かう道は「別所街道」と呼ばれています。今日はこの「別所街道」を走ります。ゴールは愛知県と長野県の県境である「新野峠」です。
愛知県豊橋市の東八町交差点で、別所街道は東海道から分岐します。吉田城のあった豊橋公園沿いに北上し、豊川に近い牛川地区に入っていきます。豊川は蛇行しているため昔から氾濫の多い川です。そのため「霞堤」という治水手段が取られてきました。霞堤とは堤防に意図的に切れ目を作りそこから水を逃がすことで下流域を守る治水手段です。豊川放水路ができてからは川の右岸の霞堤は締め切られましたが、今走っている左岸にはこの牛川を始め数か所にいまだ残っています。
牛川では通勤・通学の足として今でも渡し舟が運行しています。豊橋市が運営しており、料金は無料で観光目的の乗船も可能です。
県道31号に出て北東に進みます。和田辻交差点でかつて姫街道と呼ばれた国道362号と交差し県道81号となります。道の両サイドには柿の木畑が広がっているためこの辺りの県道81号には「柿の木街道」の愛称が付けられています。
左手に吉祥山を見ながら北東に進んでいくと、東名高速道路を過ぎてすぐに新城市に入ります。富岡の集落に入る手前の県道から少し南に外れたところには追分地蔵があります。かつてはこの辺りから浜名湖方面に向かう道が分岐していましたが現在は国道301号がその役割を担っています。
富岡の集落からは国道301号を豊川方面に走ります。庭野交差点で国道301号は豊川を渡り豊田市方面に向かう「挙母街道」となりますが、別所街道はそのまま北東に県道69号を進みます。
豊川の左岸を北東に進み第二東名高速道路の高架をくぐってすぐに牛渕橋があります。橋の上からは豊川と宇連川の合流点にかつて長篠城があった場所が見えます。また近くには長篠の戦いで活躍した鳥居強右衛門が磔となった場所があります
ここからは県道439号となり左に並走する川は宇連川となります。また川の対岸にはJR飯田線が走っています。国の登録文化財である大正7年につくられた旧黄柳橋を通り過ぎ、しばらくすると別所街道の宿場町として栄えた大野の集落に入っていきます。旧大野銀行本店の建物は大正時代に造られたこの地域のシンボルで、現在はカフェとなっています。
道は国道151号となり井代の集落を通り過ぎます。本来の別所街道はそのまま国道を直進ですが、湯谷大橋を渡り対岸の湯谷温泉街にある鳳液泉に立ち寄ります。鳳液泉には足湯や温泉スタンドがあります。湯谷温泉は愛知県で唯一「日本百名湯」に選出されています。鳳来寺の開祖である利修仙人が1,300年ほど前に開湯したといわれており利修仙人はこの湯に浸かり309歳まで生きたと伝わっています。
国道151号の別所街道に戻り能登瀬、名越、川合の集落を通ります。滝見橋あたりの本来の別所街道は「池場峠」を越えるルートですが現在は車で通れないためそのまま国道を走ります。池場の集落を過ぎると北設楽郡東栄町に入ります。JR東栄駅の駅舎は東栄町の伝統行事である「花祭」で使われる鬼の面をモチーフとしており、アニメ「ゆるキャン△」にも登場します。
東栄町市原あたりからは道が切り替わっているため三輪バイパスで市原トンネルや海老嶋大橋を通ります。奈根の集落からは国道151号を外れ、別所街道最大の難所と呼ばれた与良木峠へと向かう林道に入ります。道は細く蛇行していますが路面は舗装されています。時折落石があるため注意して峠に向かいます。結局峠の頂上まですべて舗装された道でした。下りの道も舗装されていますが、すぐ横は崖でもガードレールがないためなかなかスリルのある道です。
与良木峠を越えてからは東栄町の中心地である本郷の集落へと入っていきます。別所街道の名前の由来は本郷にある地名「別所」です。ここから先は現代の地図では国道151号が別所街道となっていますが、それ以前は県道74号が別所街道であったためそちらを走ります。山道を上っていき、御園の集落にある眞地の熊野神社の前で車を停めます。ここからは望月峠を越える道が別所街道となりますが車では通れないため徒歩で越えます。(望月峠の動画)途中道を間違えたためかなり時間をロスしましたが頂上まで到着しました。ここから北設楽郡豊根村に入ります。木の枝には雪が残っています。林道望月峠線を下っていきます。途中からはまだ切り開かれていない本来の姿の旧街道を歩きます。結局峠を越えるまで1時間少々、そして車に戻るまでさらに1時間以上かかりました。
車に戻り豊根村の中心地である下黒川の集落を走ります。ここから先の旧街道は車では走れない所も多いため、県道74号を走ります。小田、浅草、明金などの集落を通り過ぎて愛知県側最後の集落である牧嶋も通り過ぎます。この辺りまで来ると標高もかなり高くなり、所々雪景色です。県道74号から林道豊富線に入り、国道151号と交わるところが本日のゴールである新野峠の頂上です。
せっかく豊根村まで来たので茶臼山に向かいます。しかし道には積雪があったため途中からタイヤにはAutoSock(布チェーン)を装着しました。第4駐車場に車を停めて休暇村登山ルートで山頂を目指します。しかし想像していたよりも積雪がありなかなか前に進めません。結局50分ほど雪の積もる急な階段を昇り続け、なんとかかんとか頂上に到着。しかし日没が迫っていたため早急に下山しました。